UNDERCOVERは、群馬県出身の高橋盾(たかはし じゅん)がデザインを手掛けるファッションブランド。文化服装学院にてデザインを学び、在学中に一之瀬弘法と同ブランドを立ち上げる。1993年にはデザイナー、NIGOと共にNOWHEREを竹下通りにオープンする。1997年には毎日ファッション大賞で新人賞を受賞、2001年には同賞で大賞を受賞した。モードとストリートの中間にあるデザインや独自の世界観で若者達の熱狂的な支持を集め、裏原ブームの先駆者となる。1994年より東京コレクションに参加し、2003年には春夏パリコレクションでデビュー。
様々なラインがある中、2010年にはNIKEとコラボレーションをしたGYAKUSOU(ギャクソウ)を発表。ファッショナブルな上に実用性も兼ね揃えたデザインは、瞬く間に世界中でその名を馳せることとなる。2013年にはユニクロとのコラボレーションブランド、UU(ユニクロ アンダーカバー)を展開し、洗練されたデザインと最上級の着心地が好評を得、現在の止むことを知らない人気へと繋がっている。
ワカペディアの見るジュン・タカハシ
日仏ハーフの友達、ベンがパリにあるデビット・リンチ監督が設計したクラブ『シレンシオ』で紹介してくれたのが、ジュンさんだった。言葉にするのはとても難しいけれど、ジュンさんの第一印象はかなり強かった。背はそこまで高くないけれどグレーの髪型がすごく似合っていて、とても強いオーラを感じた。ジュンさんいわく、サラワカが初めて会って言った言葉は「なんか同じ匂いがする!」だったらしい。(全く覚えていないけど・・・)
その後一生懸命話をしようとするも、爆音が響くクラブでは全く会話にならず、「どんなお仕事をされているんですか?」とひたすら聞いていた。今考えてみれば、こんな甘っちょろい質問を一流デザイナーにしていたこと自体、反省するところなのだけど。そしてとどめを刺すように、馴れ馴れしくもジュンさんのビジネスパートナー、ゴウさんの剃り立ての頭を撫で回していたとか・・・あの日の出来事を思い出すたびに、穴があったら入りたいと思わずにはいられないサラワカ。
その後ジュンさんに招待された『UNDERCOVERプレゼンテーション春夏コレクション2015』には多くの人が集まり、会場ではジュンさんの友人THOM YORKEがDJを務め、とても盛り上がっていた。有名雑誌社の編集長から新人デザイナーに至るまで沢山の人が参加する中、ジュンさんはとても気さくに皆と接していた。彼のシンプルな姿がすごく印象的で、イタリア育ちの私は、ローマ法王フランシスコが信者一人一人に優しく接する姿を思い出した。そんなクールで優しいジュンさんはワカペディアのインタビューも快く引き受けてくれたのだった。
サラワカ:やっほ~ジュンさん!元気~?
ジュン: いやいや・・・ちゃんとやってよ!(笑)
サラワカ:ちゃんとやるから大丈夫!ワカペディアはカジュアルだけど、ちゃんとしたインタビューだから!読んでくれる人は皆、結構喜んでくれるんだよ〜(笑)
ジュン:わかった、わかった(苦笑)
サラワカ:まずはとってもベーシックな質問だけど、UNDERCOVERってどんなブランドなの?
ジュン:う~ん…(沈黙)それ、抽象的な質問だね。ブランドのコンセプト自体は、シーズン毎に自分の頭の中のイメージをアウトプットしていく感じだから、その都度変わるんだよね。俺は東京出身だから、自分のストリートスタイルや音楽を色んなコンセプトとミックスして、新しく組み立てていくんだ。自分のやりたい事や興味のある事がインスピレーションになっているんだよね。だからもう、ブランド=自分の頭の中っていう感じ。
サラワカ:ということは、ジュンさんの頭の中が体現化されたものが、UNDERCOVERなのかな?
ジュン:まぁ、そういうことだね。どのコンセプトでも、色んな面を表現したいと思ってるんだ。だからエレガンスがテーマだったら、その裏にあるグロテスクさや狂気さも一緒に表現するっていう感じかな。
サラワカ:確かに今回のショーでも、天使みたいな可愛らしさとブラック・スワンを連想させるダークさが混ざり合ってたよね!
ジュン:うん。今回はイノセントなものから始まって、最後はマットになっていったんだけど、あれは女の人が沢山の経験を積んで、強い女性に育っていくっていうコンセプトなんだ。
サラワカ:そんなストーリーが裏にはあったとは!・・・ということは、女性は大人になるにつれてダークになっていくっていうことかな?(笑)
ジュン:もちろんそうでしょう(笑)大人になるとそういう部分が出て来るし、必要にもなってくるからね。
[ここでサラワカの友達ジャンルーカ・カンターロ(Gianluca Cantaro)が登場。純イタリア人ながら日本名のようなカンタローという名字を持つ彼は、L’OFFICIEL ITALIAの編集長。本人いわく、ジュンさんの大ファンらしい。ファッションについて熱く語り合う二人、そして会話に取り残されるサラワカ…しばらくしてインタビューが再開。]
サラワカ:ところでUNDERCOVERがNIKEとコラボレーションした商品『GYAKUSOU』についてなんだけれど、あれはどういうきっかけで始まったの?
ジュン:それは、自分が長年マラソンしていた事をNIKEの人が耳にして、それがきっかけでオファーが来たんだ。以前ウエアを買いに行った時に着たいと思えるものが全く無くて、最初はアウトドア用の服を着て走ってたくらいだったからね。だから自分でデザインできるならやりたいと思って、引き受けたんだ。これまでにないファッションの要素を取り入れた、機能的なランニングウエアを作ろうと思ってね。
サラワカ:確かにGYAKUSOUのウエア、かっこいいよね!今の私には、手が届かないけれど(笑)それじゃあ次の質問、ジュンさんにとってアートとは?
ジュン:アートかぁ…(再び沈黙)俺は小さい頃から常にアートに惹かれてきたし、絵というものを通して関わってきたんだけれど、成長するにつれて絵からデザインへと変わっていったんだよね。俺にとってアートとは、何も無いところから、何かを作り上げること。服だったり音楽だったり、自分にできる方法で表現するんだ。頭の中に浮かぶ抽象的なイメージを、自分の手で具体的な形にしていくっていうことかな。
サラワカ:なるほど〜。一度ジュンさんの頭の中に入ってみたいな〜。すごい世界が出てきそう!!(笑)
ジュン:・・・どんな世界だよ(笑)
サラワカ:それじゃあワカペディアお決まりの最後の質問ね。キスしてちょーだい!
ジュン:・・・ なんなのそれ?!
サラワカ:ヨーロッパでキスっていうのは、挨拶じゃない?だから、インタビューの終わりに必ず毎回お願いしてるの。ヨロシクオネガイシマス!(笑)
ジュン:…(あきれた顔をしながら、ほっぺに)ちゅっ
サラワカ:Grazie Mille! (どうもありがとう!)
Description & Interview: Sara Waka
Edited :Yoka Miyano